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育児の対価を考えない男性がいる

私の職場で仲良しだった女性のKさんが会社を辞めて、もう半年が過ぎた。

彼女は私より一回り以上年齢が下だったが、席が近いこともあり、何より気が合って、よく仕事以外のプライベートな話もしていた。
そんな彼女が突然会社を辞めたのは、過労で体調を崩したことが大きな原因だった。

Kさんは中学1年の男の子を筆頭に、三人のお子さんを持つお母さんだった。学校を卒業してずっとこの会社に勤めている、というのではなく、ある日思い立って採用面接を受けて合格し、以来、お子さんの学校行事などもこなしつつ、会社の仕事も精一杯頑張っている毎日だった。
が、睡眠不足と疲労が蓄積してきたのだろう、入社して1年ほど経つと、さすがにはた目に見ても辛そうなことが次第にわかるようになった。

「Kさん、なんだか辛そうだけど大丈夫?あなたにここを辞めてほしくはないけど、やっぱり今の状態にはムリがあるんじゃないかな。」

と思い切って声をかけると、Kさんは自分が3人の小さな子供を抱えてなぜ働きに出ようと思い立ったのか、なぜそんなに仕事を頑張っているのか、その理由を説明してくれた。

彼女の旦那様は彼女が「専業主婦」であることをあからさまに軽蔑していたことが、我慢できなかったのだという。「お前は外で1円も稼いでこない。偉そうなことを言うな。」が口癖だったそうだ。

「私がこうして働きに出てからは、あの嫌なセリフを聞かずにすむようになったんです。だから、今の状況がどんなに辛くても、家で夫に蔑まれるよりはマシなんです。」

とKさんは言っていた。
そうして頑張り続けて体調を壊し、とうとう彼女は突然会社を去っていった。

大好きなKさんの旦那様の悪口を言うのは本当に心苦しいが、敢えて言わせていただく。

旦那様は小さなお子さんを3人も育てることの対価をどのようにお考えなのだろうか。
会社で働けば確かに会社から対価であるお金を受け取ることができるだろう。だが育児はたまたま受け取るお金がないだけで、外で働くことと、タイヘンさに何ら変わりはないのだ。3人分もの育児を奥様に丸投げしておいて、更に外でお金も稼いで来いとはいかなることか。

彼にとって、育児は女性が家庭でタダでやってくれるものであって、それ以上の評価については、考えたこともない、ということなのだろうか。

Kさんとはそれ以降、会っていない。

ついでに思い出したが、娘がまだ小さかった頃、夫の実家で夫の両親と話していたら、義父が
「子供はどうしたって自然に育っていくよ。」
と言ったことがあった。恐らくは育児に追われる私を励ますつもりで言ってくれた言葉で、悪気がないのはよくわかったが、それにしても義父にとっては「子供はいつの間にか育った」という感覚なのだろう、ということがよくわかる発言だった。
でも違いますよお義父さん、夫もその兄弟も、みなお義母さんがきちんと育ててくれたから成長したんですよ、と言いたかった。だが傍らで話を聞いていた心優しい義母はただほほ笑んでいるだけだったので、敢えて私が抗議するわけにもいかなかった。

義母は外で働く夫を支え、私の夫を含む3人の子供を育てあげた、典型的な「良妻賢母」なのだ。
そしてまた義父は、育児の対価など考えたこともない、一般的な日本人男性なのだろう。




by mysaturntoyota86 | 2019-03-10 18:05 | ズバリ、解説

なぜ日本では少子化が止まらないのか、一介のパートタイマー兼主婦がご説明します。

by motherofangel